はやぶさまとめ - はやぶさの状態と用語集
本ページは移転しました.ここはもはや更新されていません.
最新情報は移転先をご覧下さい.
counter: 7882
はやぶさは複雑なシステムであり,またイトカワ到着後にいくつかの不具合が起こったことから,各システムの状況が非常にわかりにくくなっています.プレスリリースや記者会見の断片的な情報をもとに,はやぶさ各システムの現在の状況をまとめてみました.間違い等がある可能性が高いです.お気づきの点はぜひお知らせ下さい.
2006/5/31 現在の状況
現在,はやぶさはイトカワと共に太陽周回軌道を回っています.5/31 にはイオンエンジン起動試験に成功との報告がありました.
今後の予定
- (軌道確定)
- (異常状況への対策をもり込んだ探査機の姿勢制御ロジックの更新)
- (ベーキング(1〜2ヶ月間))
- (回収カプセルベーキング,および回収カプセルへの試料容器移送と蓋閉め)
- (イオンエンジン運転状態での第 2 段階のベーキング,およびイオンエンジンの 1 台ずつの起動(最大 3 台同時運転)(数ヶ月間),ジンバル試験,3 軸制御確立)
- 「比較的大きな問題」の検討と対策
- 今年後半〜来年初め:イオンエンジン本格稼動
- 2006/9/4 遠日点
- 2007 年 1 月:イオンエンジン C 駆動試験
- 2007 年 2 月:スピン安定から 3 軸制御に移行,その後イオンエンジン運転を開始
- 2007 年 4 月:地球への帰還軌道に乗せる
- 2010 年 6 月:帰還予定.カプセル投下予定地点はオーストラリアのウーメラ.
位置
3 月 6 日時点で,太陽からの距離は約1億9千万km,地球からの距離は約3億3千万km.イトカワから(概ねイトカワの進行方向に)約1万3千kmの距離にあり,相対速度毎秒約3mで飛行中.3 月時点で,地球からみて太陽のほぼ向こう側.
7/18 現在,地球からの距離 312,065,600km.イトカワと共に太陽周回軌道を回っている.
姿勢
11/27,セーフホールド状態投入のための姿勢制御の際,一部スラスタ凍結(リークによる温度低下のため?)の影響で大きく姿勢を崩した.12/3 には太陽角,地球角がかなりずれていたため,キセノンスラスタによる姿勢制御を実施し,12/5 には HGA 軸が 10〜20度まで回復.姿勢安定化のためセーフホールド状態に投入され,周期 6 分ほどの純スピン運動を行っていた.12/8 時点では正方向に毎秒1度の角速度でスピンしていたが,アウトガス噴出によりかなり大きな外乱を再び受け通信途絶.この時約90度ほども姿勢が変化したものと考えられる.しばらく臨界ニューテーション角を超えるコーニング運動(みそすり運動)を行っていたと推測される.コーニング運動は放っておいても +Z 軸(アンテナ軸)まわりの純スピン運動に受動的に収束するように探査機が設計されており,2 月上旬には安定すると予測されたため,収束を待ったところ,1/23 に地球方向から約70度離れた方向を軸に毎秒7度の角速度で逆方向にスピンした状態で発見された.この時点でコーニング運動自体は収束していたようだ.2/6 の姿勢制御プログラム書き換えにより,1日に2度ほどの速さで太陽方向にアンテナを向かせるマヌーバを行った.3/4 には太陽角が14度にまで縮小できた.3月上旬に地球指向を完了.その後定期的にキセノンコールドガスによる姿勢制御を実施し,5 月第 3 週から第 4 週にかけて,イオンエンジン加速運転下で(イオンエンジンによる)スピンダウンを行い(加速運転時のほうがガス消費量を削減できるため),5/31 現在のスピンレートは 0.2rpm(周期約 5 分).
その後,キセノンスラスタによる再度スピンダウンを行い,現在のスピンレートは 0.1rpm(周期 10 分).キセノンを節約するため,現在は太陽輻射圧によるジャイロ効果を利用して太陽追尾を行っている(スピン軸を太陽の北側 1〜2.5°に向けておくと,歳差運動で自動的に 1 日 1°の太陽追尾を行う).今後このまま 2007 年 2 月までスピン安定を維持して待機し,その後 3 軸制御に移行予定.
電源系
11/27 に大きく姿勢を崩したため,太陽電池に光が当たらなくなり大幅な電力低下が発生し,広い範囲で電源系がリセットされた.11/29 に再起動に成功したが,12/8 以降の通信途絶により発生電力が極端に低下し,一旦電源が完全に落ちたもよう.なお,はやぶさの太陽電池パドルは大きいので,イオンエンジン運転中でなければ太陽の方角がかなりずれていても電力は発生可能.現在,太陽角の収束により電力は増えてきている.ただし電力余裕が少ない運用はできなくなる.今後遠日点に向かうにつれて発電量が少なくなるため,他の機器は極力電源を落として省エネ運用するようだ.
リアクションホイール
Ithaco 社の Type-A ホイール(100 台以上の軌道実績)に,打上げ時の高振動環境への対応のため,はやぶさ独自の設計変更を 4 箇所行ったものを使用していた.イトカワに向かう途中から XY 2 基の温度が次第に上昇.7/31 と 10/3 に X 軸と Y 軸がそれぞれ故障.現在は Z 軸 1 基のみ生きている.ホイール停止の原因は,設計変更箇所の 1 つであるメタルライナーが剥離したためと推測されている.12/6 現在,電源系リセットから再起動して 1000rpm で回転できることを確認.今後 2000〜3000 rpm で使っていきたい.
スラスタ系
11/26,降下中にリークの予兆があったため,バックアップ系で運用.上昇の際,主系統に切り替えたところ,探査機上面 B 系統スラスタから原因不明のリーク発生のため,地上から A,B の弁を緊急閉鎖してリークを止め,セーフモード投入.11/27,セーフモードからの復帰を目指したが,凍結のためか A 系統の推力が不十分.12/27 の消感後にもなぜか数 kg のリークがあった模様(消感直前の姿勢制御指令やその不調との関連は不明).これらのリークで,燃料の気化による大幅な温度低下が発生している.11/29 以降,探査機を暖めてアウトガス排出を試みる.12/2,スラスタ再起動を試みたところ,小推力を確認するも本格的には起動せず.またラッチングバルブを開こうとしたが動かず.弁駆動系電源や配線系の問題が考えられる(凍結は考えにくい).12/14 時点で,A,B ともにラッチングバルブは閉位置で動かない状態であった.12/8 の時点では温度計測配線は生きていた.
さらに,11/26,27 に漏れた燃料は探査機内に溜まり,12/8 に少量が噴出して探査機姿勢を大きく崩した.ヒータによるアウトガス排出は継続中だが,かなり時間が掛かる模様(これが帰還延期の原因の一つ).
RW 不調以来スラスタを姿勢制御に多用してきたため,12 月上旬時点では推進剤をほぼ全量喪失した状態であったが,通信途絶の間に酸化剤もあらたに漏洩した模様で,指示上は残量ゼロ.ただしセンサの故障だとすれば,ラッチングバルブを開けて酸化剤を噴射して姿勢制御することはありうる.漏洩箇所は不明.
通信回復時,相当量のアウトガスが探査機内部に溜まっていたため,50℃程度でベーキングの必要があり,3月から4月中旬までかけてベーキングを実施.明確なガスの排出は確認されなかったが,探査機を今後経験するであろう最高の温度まで昇温できたため,実質的にベーキング作業は完了できたものと考えられる.
データ
11/25 までの分はダウンロード済み.11/27 の電力低下と機器リセットにより,DHU(データハンドリングユニット)の絶対時刻データやデータレコーダ(DRAM)のパーティション情報が消えている.データの一部をダウンロードしたところ,一見それらしいデータが出てきたので解析中であった.他のデータが保持されているかどうかは定かではない.着陸前後の数 MB のデータが入っているはず.
3/6,3/7 の段階でデータレコーダーに記録は見つかっていない.電源断により消えた模様.
DHU の OS はμITRON.
通信
11/28,セーフモードからの復帰が不調でコンタクト取れず.11/29 に LGA によるビーコン回線回復.11/30 に 1 ビット通信開始.12/1 に LGA による 8bps テレメトリ回線が断続的に回復.12/5 にキセノンスラスタ姿勢制御により,MGA による 256bps 通信回復.12/8 消感直前,アウトガスによる姿勢異常で受信レベルが低下,12/9 以降はビーコン回線,テレメトリ回線ともに途絶.切れ切れにでもコマンドが届く可能性があるので,自動的にコマンドを送信し続けていた.1/23 に予想より強い強度でビーコン入感.スピン周期のうち探査機がコマンドを受け付ける 20 秒ほどの間にコマンドを繰返し送信する工夫により,1/26 には探査機の自律診断機能が地上局からの質問に回答を返すようになる(1 ビット通信).2/25 に LGA による 8bps テレメトリ取得,3/1 に距離計測実施,3/4 には MGA による 32bps テレメトリ取得開始.現在は MGA により 256bps で交信と運用を実施.
姿勢制御コンピュータ
電源断により極低温にさらされたため,動作未確認.2〜3 週間で確認可能.3 系統搭載されており,故障してもバックアップで対応できる.OS は VxWorks.
スタートラッカ
電源断により極低温にさらされたため,動作未確認.スピンを止めないと動作確認できない.ダメになった場合は広角カメラで代用の可能性あり.
イオンエンジン
12 月中旬時点で異常なし.しかしその後の電源断による極低温が動作に影響を及ぼしている可能性があり,動作の確認が待たれた.イオンエンジンの運転に合わせた 3 軸制御の確立とジンバル機構の試験も同様に待たれている.
4 基中 2 基生きていれば帰還可能.3 基生きていれば 1 年以上帰還開始時期を遅らせることが可能.キセノンについては打ち上げ時に 66kg を積んでいたがイトカワ到着までに 23kg を消費した.3 月時点では12月に通信途絶時点の圧力を保っており,残量は約42〜44kgと推定された.これは姿勢制御と帰還に十分な量であり,太陽が常時当たっているので凍結の心配はない.現在はキセノンコールドガスを姿勢制御に用いているため,4 月時点では残量およそ 38kg と比較的早いペースで減っているが,5/31 時点では足りるものと考えているとの発表あり.
5/31 の発表によると,5 月の連休前から連休後にかけて,エンジン 4 基のうち 2 基(B,D)の駆動試験を実施.結果は良好で,放電状態も問題なく,性能もイトカワ到着前と変わりないことを確認した.エンジン C は,個性として低温時には加速電源が発振気味になることや,TWTA の起動特性に温度依存性があることから,探査機が近日点付近に再度近づく来年1月付近まで,運転試験を延期することになった.
現在は太陽からの距離が遠いために電力が少なく,複数を同時運転することはできない.
サンプル採取機構
11/26 の着陸時,サンプラホーンの変形を示すデータを確認.また弾丸発射の指令が出されたことは確認.しかし,その後電源断により壊れた DRAM からダウンロードした断片的なデータを再生したところ,弾丸発射系統を安全モードに戻すようなコマンドの履歴が確認された.また弾丸が発射されたというデータは残っていない.これらより,弾丸は発射されなかった可能性が 8 割がたある.ただし弾丸発射装置の温度は 1 回目の着陸時より高温になっていたというデータもある.得られたデータは少なく相互に矛盾している.いずれにしろ,コマンド履歴は失われてしまっているので慎重な推定が必要.2 度目の着陸の前に様々な降下中止条件緩和の設定を行い,上位のコマンドも色々加えたため,プログラムが非常に複雑になったことが原因か.
なお,第 1 回目の着陸時に舞い上がった砂がカプセルに入った可能性はかなり高い(弾丸を発射した場合よりむしろ多量が採取できたとの見方もある).このカプセルは 11/24 にふたをした.開いている採取容器はベーキング後にカプセルに移送してふたをする.
バッテリ
姿勢異常で電力供給が止まると使われる.40分持たせるだけの容量がある.11/27 の姿勢異常による電力低下の際に放電し,12/6 時点では再度充電されており異常なかったが,12/8 以降の電源断によりバッテリが放電した.3 月時点では放電しきった状態にあり,かつバッテリの中の一部のセルは準短絡状態となっていて,現在は使用不能の状態.充電すると爆発の可能性があるので,今後は使用しない予定.
ただし,現在は慎重に充電を試みているとの話も.
ミネルバ
11/12 のリハーサルで分離されたが,ちょうど重力補償のためのスラスタ噴射によって機体が上昇中だったため,イトカワへは着地しなかった模様.分離時点では太陽方向の速度成分を持っており,推測ではその後数日で太陽輻射圧により吹き戻されたはずだが,はやぶさの受信範囲内に戻ってきたかどうかは不明.ミネルバ自体の機能はすべて正常に動作.また分離後しばらくのミネルバからのデータははやぶさに蓄積されている.軌道としてはイトカワに似たものとなる見込み.
ターゲットマーカ
署名なし(関係者の署名あり)のマーカは 11/9 の降下時に正常に分離.イトカワと似たような軌道上で太陽周回中.
署名ありのマーカは 11/20 の降下時に分離し,ミューゼスの海の南西側に投下成功.
その他
交信と運用には問題ない(毎日の運用は必要ないので土日は休み)が,いくつか検討を要する比較的大きな問題があるとのこと.その検討には地上試験や比較的長期の飛行履歴の調査を要するため,現時点では正確な状況は知らされておらず,今後の説明が待たれる.
着陸履歴
9/1,イトカワ到着.
11/4,リハーサル降下中に自律航法機能の航法誤差が許容値を逸脱したため,降下中止.
11/9,再リハーサル降下し,高度 70m まで接近.ターゲットマーカ(署名なし)を正常に分離.
11/12,再度リハーサル降下し,高度 55m まで接近.ミネルバを分離したが,スラスタ噴射による上昇中だったため,イトカワには到達せず.
11/20,着陸及び試料採取を目的に 1 回目の緩降下を試みる.ターゲットマーカ分離に成功.自律シーケンスで降下中,障害物センサが反射光を検知したため緊急離陸が試みられたが,姿勢が許容範囲外だったために降下続行して着陸.障害物センサが作動したことから,着陸検出機能の起動は行われず.およそ 30 分間安定に着地を継続し,地上からの緊急離陸指令により離陸.
11/26,着陸及び試料採取を目的に 2 回目の緩降下を試みる.ターゲットマーカは使用せず.自律降下し,一連の着陸シーケンスを経て WCT モード移行を確認.離脱中にリーク発生.
12/8,大きく姿勢を崩し通信途絶.
1/23,通信回復.その後,キセノンスラスタによる太陽捕捉,地球追尾を行う.
4/21,イオンエンジンによるスピンダウン(300 秒周期).
その後は太陽輻射圧による太陽追尾を行う.キセノンスラスタにより再度スピンダウン(600 秒周期).
用語集
プレスリリースに出てくる難しい言葉を素人なりに調べてみました(とりあえず管理人自身がよくわからなかった用語が中心です).間違い等がある可能性が高いですので,鵜呑みにしないで下さい(^^;
間違いがありましたらぜひお知らせ下さい.
あ
臼田局
臼田宇宙空間観測所.長野県佐久市にある,JAXA 唯一の深宇宙通信局.64m の大型パラボラアンテナを持ち,はやぶさとの交信に用いている.
http://www.jaxa.jp/about/centers/tracking/udsc/index_j.html
http://www.isas.jaxa.jp/j/about/center/udsc/udsc.shtml
か
外乱トルク
探査機に外部から加わるさまざまなトルク(姿勢を変化させようとする力).
化学エンジン
スラスタの項参照.
可視
地上追跡局が衛星と電波で交信できる時間帯.
キセノンスラスタ
イオンエンジン運転用のキセノンガスを少量噴射することで,スラスタ代わりとして姿勢制御に使うことができる.これを,本来のスラスタに対してキセノンスラスタと呼んでいる.また,キセノンを電離させずに生のまま使うことからキセノン・コールドガスという言い方もされる.本来想定された使い方ではなく,12/3 に探査機の姿勢を修復するために急遽提案・採用された方式である.推力は小さく,12/8 におきたアウトガスによる姿勢の崩れを止めることはできなかった.1 月末の交信復旧後はキセノンスラスタによる姿勢制御を実施.
コーニング運動
円錐運動,みそすり運動ともいう.すりばちの中のすりこ木,あるいは傾きながら回るコマのように,回転軸(角速度ベクトル)が円錐面に沿っている状態.なお,はやぶさはコーニング運動が次第に純スピン運動に収束するように設計されている(恐らくニューテーションダンパがついていると思われる).
さ
消感
LOS(Loss Of Sight).地球の自転により衛星からの電波が地上の運用局に届かなくなること.反対語は入感.
スラスタ
化学スラスタ,化学エンジン,単にスラスタともいう.機体の姿勢制御に使われるガスジェットで,併進と回転を制御する.はやぶさには A,B の 2 系統のスラスタが計 12 個備わっており,両系とも単独で 3 軸制御が可能.調圧式2液スラスタであり,ヒドラジンと四酸化二窒素の化学反応を利用している.
スピンダウン
スピンレートを下げること.
スピンレート
スピン(ある軸周りに回転している状態)の回転速度.
セーフホールド状態(セーフモード)
スラスタや RW による姿勢・軌道の能動的制御(3 軸制御)を行わず,スピン安定化方式によって探査機を太陽指向で安定させている状態.
た
待機状態
探査機の姿勢が崩れたりして通信が途絶すると,システムは待機状態に入る.地上からのコマンドが届き次第,リスタートする.
太陽輻射圧
太陽光が持つ圧力.宇宙空間の物体は,太陽光が当たると圧力を受ける.
テレメータ回線
探査機からのテレメトリデータ送受信用の回線.主に探査機内部の状態に関するデータ(ハウスキーピングデータ)をテレメトリという.
な
入感
電波が地上局に届くこと.反対語は消感.
は
ハイゲインアンテナ(HGA)
高利得アンテナともいう.探査機上面(+Z 軸)にある大きなアンテナ.2kbps で通信可能.画像データなどを高速に送るのに使われる.指向性が極めて高く,少しでも向きがずれると通信できなくなる.ステアリングはついていないため,地球方向に向けるには探査機ごと向かなくてはならない.
ビーコン回線
探査機のレンジング(地球からの位置や速度の計測)に使われる回線.データは重畳されておらず搬送波のみ.探査機が送ってくる電波(ビーコン)のドップラー変位から,探査機の距離や速さ,向きがわかる.
プロジェクタイル
弾丸のこと.
ベーキング
ヒータを用いて探査機全体の温度を上昇させ,漏洩したガスを追い出すこと.
ま
ミドルゲインアンテナ(MGA)
中利得アンテナともいう.最大 256bps で通信可能.主にテレメトリ取得に使用.
や
ら
リアクションホイール(RW)
探査機の姿勢を制御するための装置で,ホイールと呼ばれる円盤を回すことで反作用により姿勢制御する.はやぶさには X 軸,Y 軸,Z 軸用に 3 基の RW が搭載されている.
臨界ニューテーション角
角運動量ベクトルとスピン軸のなす角をニューテーション角という(単純に言えばみそすりのすりこ木の傾き角度).これがある角度を超えると,スピン軸自体が大きく変動して探査機がひっくり返る.この角度が臨界ニューテーション角.
ローゲインアンテナ(LGA)
低利得アンテナともいう.通信速度が 8bps と遅いが,履域が広くビーコン回線やテレメトリ取得に使われる.広いといっても電波を受けられる範囲は 60 度程度なので,姿勢が大きく崩れると通信不可能になる.
わ
英数字
1ビット通信
テレメトリ回線が使えない状況であっても,ビーコン回線を使うことで探査機の状態を調査できる通信方法.地上からはやぶさの状態に関する質問を送信し,YES ならビーコン電波をオフ,NO ならオンとすることで,状態を知ることができる.1回の通信で 1 ビットの情報しか得られないためそう呼ばれる.火星探査機「のぞみ」トラブルの際に提案,実装され,はやぶさには当初から組み込まれている(はやぶさの場合にはオンオフだけでなくビーコンの周波数等も変化させることで,より多くの情報を得られるようになっている).
3軸制御
スラスタや RW などによる能動的な姿勢制御.X,Y,Z の 3 軸まわりの姿勢が制御される必要がある(ちなみに HGA の方向が +Z 軸,イオンエンジンの方向が +X 軸).
DSN
NASA 深宇宙ネットワーク(Deep Space Network).ゴールドストーン,キャンベラ,マドリッドに大型パラボラアンテナを持ち,24 時間体制での探査機運用を可能にしている.はやぶさの運用でも,臼田局非可視の時間帯には DSN が使われることがあるが,NASA の探査機の運用が優先される.
TWTA
Traveling Wave Tube Amplifier(進行波管増幅器).一般に通信衛星などの電力増幅器として使用される.はやぶさのイオンエンジンにおいては,プラズマ発生用電源として 3 台が搭載されている.
(参考:のぞみ用語集)
